文芸的な、あまりに文芸的な

人生にあるのは意味ではなく味わいだと私は思っている(谷川俊太郎)

2017-01-01から1年間の記事一覧

夏目漱石『彼岸過迄』 ~近代的自意識に苦悩する男と、現実を生きる女

漱石は私の好きな作家だ。 漱石作品は基本的に新聞連載小説であるため、次の頁を早くめくりたくなるような話の展開なのがいい。漱石は、人間模様や会話もかなり上手い。 何より作品のテーマが「近代自意識という悩みと、それ以上に現実である女性関係」なの…

第二十五回文学フリマ東京・編集後記&レポ

文学系同人誌即売会・第二十五回文学フリマ東京(11/23)に、サークル『文化系女子になりたい』で出展参加しました。 23冊頒布して21人の方にお買い上げいただけました。 本誌に入りきらなかった漫画文学論、回文集、テレビ論などのおまけもそこそこ手に…

大傑作劇画・上村一夫『しなの川』。 再実写化するなら主役は誰?

とんでもない傑作漫画を読んだ。 どれくらい傑作なのかというと、私の「生涯で読んだ凄い漫画」ベスト2、3に食い込むのではないか、というレベルの傑作である。 自慢ではないが、私は32年の人生としては、結構な数のマンガを読んでいる(上には上がいるも…

田亀源五郎『弟の夫』を読む ~ゲイというマイノリティの物語に描かれる、<家族>という物語

田亀源五郎『弟の夫』全4巻。 ゲイエロ漫画界の巨匠が初めて一般誌で連載した、ゲイ男性と同居するホームドラマだ。 弟の夫 : 1 (アクションコミックス) 作者: 田亀源五郎 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2015/06/12 メディア: Kindle版 この商品を含む…

【告知】文学フリマ東京(11/23 木・祝)参加します。サークル「文化系女子になりたい」(カ-25)

文学系同人誌即売会 第二十五回文学フリマ東京に出展参加します。 第二十五回文学フリマ東京 日時;11月23日(木祝) 11:00~17:00 会場;東京流通センター 第二展示場 (東京モノレール「流通センター駅」徒歩1分) 私たちのサークルは「文化系女子になり…

『エロ本黄金時代』にみる、伝説のエロ本ライター・奥出哲雄という男の栄光と転落

サブカル度数の高い傑作本を読んだ。 『エロ本黄金時代』(本橋 信宏,東良 美季)。 エロ本黄金時代 作者: 本橋信宏,東良美季 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/12/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る タイトル通り、「エロ…

極私的女優論:マンガ『私の少年』と、「私の妹」にしたい杉咲花

高野ひと深『私の少年』というマンガがある。 30歳独身恋人なしのOLが、ふとしたことから美形の少年に、夕方だけサッカーを教えることになることになり、そこから二人の交流が始まるマンガである。そこでは独身OLお姉さんと少年の、親子でもなく姉弟でもなく…

イベント「モテる大人のつくり方――アダルトビデオ監督・二村ヒトシに、女流官能小説家・深志美由紀が聞く!」レポ

「モテる大人のつくり方――アダルトビデオ監督・二村ヒトシに、女流官能小説家・深志美由紀が聞く!」という新宿でやったイベント(トークショー)にいってきました。メモしたことを公開。 二村といえば、恋愛指南本『すべてはモテるためである』(男向け)、…

こうの史代『この世界の片隅に』を読む ~戦時下という非日常でみつける<日常という奇跡>

こうの史代『この世界の片隅に』。 今アニメ映画が大ヒット中である。キネ旬の今年の邦画第1位にもなった。でも私はまだ映画は未見だ。年末年始で支出が多いから、映画代がないのだ(苦笑) この世界の片隅に 上 (アクションコミックス) 作者: こうの史代 …