ぼくの精神病院入院日記 その4
精神病院入院日記、続きの更新に1年ほどかかってしまいましたが、それは飽きたのと、もうほぼ自分のことが出てこないからです。(これ以降意識は元気になったので、自分のことは書くことがない)
とはいえまぁ、人様のことだけど仮名だし載せてもよかろうか、ということで更新します。
去年の4月の終わりごろから2か月半ほど、精神病院に入院してました。 入院理由は、ストレスによる心因性の過剰水分摂取による水中毒でした。 入院中に暇つぶしに書いた日記を、忘備録として載せます。 ※以下出てくる人名は、当然ながらすべて仮名です。
5月12日
・一睡もできなかった。「今日は眠れない」というのがもう感覚的にわかってきた。そういうときは絶対に当たる。そしてそういう日は身体が重い。
・朝食に「白つくね」なる練り物が出てきたがクソまずい。ここ2週間以上毎日魚が出てくるし(私は魚が得意ではない)。4日連続酢の物が出てきたのにはブチ切れそうになった。 親にのりたまふりかけを持ってきてもらって、やっと「まとも」な飯になった。今日は昼飯がカレーなので、それを生き甲斐に生きる。
・午前中は病棟停電のためテレビも映らず、食堂の人はまばら。まぁ、テレビがあっても土曜はクソつまんないけど。
・昼飯はカレー。みんな楽しみにしていたようだ。(会話でカレーの話題をしてる人が多かった。)しかし食べてみると、冷めていて決してそこまでうまくなかった。これでもここではトップに旨い飯なのだが
・よく「倒れる」おじさんがいる。以下、倒れるおじさんとよぶ。1度目はトイレで倒れていたのを私が発見して看護師さんに呼びに行き、2度目は部屋の前で倒れて眼鏡を割ったらしい。 食堂でよく眠ってて、「ここで寝ちゃだめ、部屋戻り」とナースさんに言われてるのをみたので、薬の副作用か何かで眠くなって倒れていたのだろうか。
・この前オセロやった女の子が「いらねーーんだよぉぉ!」と怒鳴ってた。よく(夜ほぼ毎日)泣く女性と言い争いか何かしてたっぽい(私はトイレ行ってて、そこで大声がきこえたので何もわからず)
・同室のA木さんと将棋やった。そこそこ強かったが私勝ち。「薬で頭あんま働かない」と私に負けた人は皆言うが、半分は悔し紛れで半分は本当なんだと思う。(みんな薬のんでるし)。これで、将棋ができる人とはみんな指したかな。一応ここでは私が一番将棋強いようだ。
・同室のN田さんと、夕方テレビをみた。「危険地帯に行く」という番組。麒麟・田村がタイの中華マフィアのボスに会いに行こうとしたところ、警備の警察官が逃げてしまって、結局会いに行かずに逃げ帰ったのはみてて怖かった。土曜の夕方に面白い番組やってるな。
・N田さんが「やることなくて寝るしかない」というので、私のマンガを貸した。
・N田さんも将棋できるとのことだったのでやった。初心者レベルだったので、矢倉を教えた。
将棋おばさんとも将棋やりたかったが、おばさんは外泊中なのでできないのが残念だった。
・夜8時からのドラマが面白かった。面白い番組を発見できるのが(入院中はTVみるくらいしかすることがないから)入院中のいいところと言えるのかな。
5月13日
・昨晩はさんざんだった。同室のじじいが消灯の9時半から、11時過ぎまで「あーう~あーう~」「助けてくださいー鈴木さん」(鈴木さんって誰だよ)を絶え間なく連呼し、眠れなかった。10時ごろナースセンターに行ってなんとかしてくれと頼んでも、「ごめんね。口かせ付けるわけにいかないから、何もすることができない」とのこと。それはわかるが、あまりのストレスでもう部屋で寝ることはできなかった。じじいの声をもうききたくないので、暗い食堂(ナースセンターだけは灯りがついている)で本を読んで、じじいが寝るまで(声をあげるのをやめるまで)待つことにした。眠剤が出る時間が10:30なので、せめてそこまでは部屋に入るのはもういやだ、と思った。
ナースは「部屋で寝る努力はしてくれないかな」と私に言ったが、私は「今の間はうるさいのでストレスで戻りたくない」と拒否した。しかし10:20くらいに眠くなったので部屋に戻った。「じじいはもう静かになったのかな」とベッドに戻ったら、じじいはまた「あーう~あーう~」が始まった。
10:40にナースセンターに行って眠剤をもらう。結局11時すぎくらいまでうるさくて眠れなかった。12時前くらいにはじじいも寝たのか静かになった。
じじいはつらいのも(なんかよくわからんがよく痰がからんでる。一人で身体も動かせない)、昼間から寝てるので夜眠れないのもわかる。しかし少しは静かにしてくれんとこっちが眠れない。
結局私が寝たのは12時過ぎくらいだろうが、起きたら3時だった。7時間のうち3時間眠れれば、悪いほうではないか。
・夜食堂で本読んでたら、別室のじいさんがきて、「寝れるか?俺もう3日寝てない」と言ってきた。「うまくいかないもんだねー」とも言ってた。翌朝じいさんに「眠れましたか?」と聞いたら「半分眠れた」そう。入院患者に不眠の人は結構多そう。とはいえ、薬の副作用で寝てばかりの人も多いけど。同室の2人はそう。
・今日は日曜でシーツ換え。女性看護師さんが、シーツを換えながら「このまま何もなく30才になるとかありえない(彼氏ができない、とかそういう話だろう)。28才以降の誕生日はお葬式と同じ」と愚痴ってた。不規則な仕事だからね。
・イスに座るのから離れると(離席すると)ブザーが鳴る「逆ブーブークッション」があって(離席すると危ないひと用)、さすが病院の設備はすごい。ナースセンターに近い部屋の入り口には、老人、車いす、重病人が配置されている。私も重病のときには部屋入り口の病床だった。
・N田さんと、将棋おばさんとオセロをやった。ともに1勝1敗。オセロやると頭のスイッチが入って読書欲が高まる。というか、オセロでも負けると悔しい。
・昼、「お宝鑑定団」がやってた。タイガーマスク全盛期(二冠のころ)のマスクが出て5、600万かと思ったら1000万円だった。すごい。
・夜、眠剤もらいに来る人(=不眠の人)は私含めて固定してるなぁ
5月14日
・昨夜はじじいも静かでよかった。ろくでもない夢を見たと思うが、3,4時間眠れた。
・今日の映画は「武士の一分」だった。
・オセロの女の子がナースセンターで大声出してた。やっぱ精神が不安定なのか?
・食堂の本棚に村上春樹の「多崎つくる」が。誰が買ったのかしらんが読みたかったので、やった。
・風呂入って、看護師さんと実習生が、どの科に入るか話していたので、「看護師はどの科が人気ですか?」ときいたら、「看護師は女子が多いから小児科が人気」とのこと。
・両親がお見舞いに来てくれた。いろいろ持ってきてくれて、ラジオまでそろう。久々にラジオをきく。しかし病室でカーテンを閉めると、電波が入らない?
・母とグラウンドの散歩をした。鬱なのかいつも廊下でぼーっと立ってるおじさんが妻子(可愛い女の子2人)とともに歩いてた。あんた妻子もちなのかい!ご家族もご本人も大変だ。
・将棋おばさんと、平手(後手)で将棋やって負けた。特別な指導(手のゆるめ)はしてなかったのだが。難しい将棋だった。しかし格下に平手で負けると悔しい…。
・将棋おばさんと寝る前に将棋指した。「夜ねれるか」という話になった。「鬱で副自律神経が出ずに、ずっと眠れない」らしい。たまに眠剤もらって1時間くらい眠れるらしい。おばさんは「眠れないから入院してるの」と言い、「眠れないだけで入院ならラクでいいな」ともひそかに思ったが、これは入院して治ってきたからであって、入院する前の鬱はつらかったろうな、と思った。
・将棋おばさんもラジオ好きなようで、文化放送が好きらしい。朝5時~7時の「おはよう寺ちゃん」が毒のあるキャスターのニュースで面白いから聞いてみて、と言われた。 朝起きれなかったのと、イヤホンが壊れていて聞けなかった。
ぼくの精神病院入院日記 続きます