綿矢りさのおっぱいがでかい 文学は死んだ --を短歌にしてみる
今日はてな匿名ダイアリー(通称 増田)にこんな投稿があった。
「綿谷りさのおっぱいがでかい 文学は死んだ」。ただこれだけの一発ネタである。(綿谷は誤りであり、綿矢りさ が正しい)
しかしこれ、投稿者が意図したのかどうかは知らないが、自由律俳句(もしくは5・8・7の破調の無季俳句)として秀逸な出来になっていると思う。簡単に解説してみたい。
(長くなるので綿矢りさのおっぱいで一服)
「綿矢りさのおっぱいがでかい」 <おっぱいがでかい>は言うまでもなく生の象徴である。そこに唐突に
「文学は死んだ」と文学の死が宣言されるのである。
この短文で、生の象徴から死への転調へともってくるのは凄い。さらに言うなら、<おっぱい>という(一種の)下ネタから唐突に「文学は死んだ」と壮大な話へと飛躍するのところもうまいという他ない。
この自由律俳句を解釈するなら、
「綿矢りさのおっぱいはでかい」し、「文学は死んだ」。しかしおっぱいの大きい<綿矢りさ>は生命力に溢れている、故にまだ(綿矢の)文学は生き残っている。
という、「生→死→<故に生>」という構図になるだろう。
私はこれを気に入ったので、勝手に推敲して短歌にしてみたい。
まず上の句。
綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ。」
「おっぱいがでかい」を「おっぱいは大きい」に変える。「が→は」への変更は、「おっぱいは」の方がソフトでおっぱいの柔らかさがでるから。「が」は濁音なのが固いと思った。
「でかい→大きい」への変更は「わたやりさの おっぱいはおおきい」で5・9の破調(字余り)にして、「でかい」よりもその大きさを印象づけるため。
「死んだ。」と読点で区切ってインパクト出す。「」で会話文にして誰かが言った感をつける。
これで5・9・8の上の句になった。かなりの破調である。破調が2つあると肝心な所(9のところ)は目立たないので「文学は/死んだ」と「死んだ」3音は下の句に回してもいいかもしれない。
で、下の句。これは私がいくつか考えてみる(ここからがけっこう難しい…)
A)おっぱいで考える
A1)本谷有希子の おっぱいも大きい (7・9)
これは上の記事のブクマを書いたときに考えたもの。
本谷有希子にしたのは、たぶん本当におっぱいでかいのだと思うのだが、一番ポイントなのは、一番最近に芥川賞受賞した女性だから。綿矢が芥川賞当時の文学は生きてるし、今の文学も生きてるよ(おっぱいでかい)という意味。
ただおっぱいの大きさを言ってるだけじゃないのだよ(ただわかりにくいかな…)
おっぱい 文学は死んだ おっぱい と、一見無関係なものでサンドイッチになってるナンセンスさもポイント。
(あ、でも思ったほど巨乳ではないんだな…たぶん)
B)綿矢といえば、なんといっても 芥川賞受賞作『蹴りたい背中』である。
B1)まだ読んでない『蹴りたい背中』
B2)死んだ。」 読みかけの『蹴りたい背中』 (8・7)
「まだ読んでない」ところがポイント。文学は死んだが、まだ読んでいない『蹴りたい背中』には文学の可能性が残っているという意味。
「B2」が上の句とのつなぎがよく、「B3」は情景を詠むことに比重が出ている。
B4)『蹴りたい背中』のページをめくる (8・7)
これはシンプル・イズ・ベストでいいかもしれない。
「ページをめくりつ」にすると、本読みながら「文学は死んだ」と言っているわけで意味が通らなくなる。
「B3」の方がいいか?
B5)だからどうした『蹴りたい背中』
文学が死んだからどうした、この本とは関係ないぜ という意味だが、うーん…。
B6)「うそ。僕は好き『蹴りたい背中』」
ものすごい時間考えて作った。
「文学は死んだ。」と言った直後に「うそ」と否定して、「本も好きだけど、本当は好きなのはおっぱいなの…」という茶目っ気が出る感じにした。
C)そっけない感じを出す
C1)芥川賞は 今日決まるらしい (8・8)
死んだ文学(芥川賞)には興味ないが(決まる「らしい」)、なんとなくまだ興味は残っている…という感じ。
D)上の句から続くように下の句
D1)死んだ」とほざいた 女(やつ)は貧乳 (8・7)
D2)死んだ」と言ったの 絶対貧乳 (8・7)
貧乳がやっかみで「文学は死んだ」なんて吐(ぬ)かしやがったんだろ! という意味の歌。ユーモアがあるが若干下品でもあり。
と、ここまで考えたのでまとめる。候補は
A1)綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ。」 本谷有希子のおっぱいも大きい
B3)綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ。」 積読していた『蹴りたい背中』
B6)綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ。」「うそ。僕は好き『蹴りたい背中』」
C1)綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ。」 芥川賞は今日決まるらしい
D1)綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ」とほざいた女(やつ)は貧乳
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さて、この中から私選では、
一番作るのに時間がかかった、B6)
綿矢りさのおっぱいは大きい 「文学は死んだ。」「うそ。僕は好き『蹴りたい背中』」
を「綿矢りさ おっぱい」の一首ということにしたい。
結構頑張って作ったので、決して「上の句だけの自由律俳句の方がよくね?」とは言わないでもらいたい(苦笑)
候補作の中でこっちの方がいいよ、あるいは「私が作ったこっちの方がいい」という方はコメ蘭でぜひお願いします。
まあ結局、ここまで書いて何が言いたかったというと、綿矢りさのおっぱいはいいよな(小説もいいよ)ということに尽きるのである。 <了>