映画の興行収入と利益についての忘備録 吉田正樹「メディアのリアル」
吉田正樹「メディアのリアル」という対談本に、映画プロデューサ-の小滝祥平(映画『ホワイトアウト』のプロデューサー)との対談で、
映画の興行収入の話があったのでメモ。
だいたいの計算方法が以下だという。
興行収入(劇場にきた客数×チケット枚数の代金)が10億円とする。
このうち半分の5億円が劇場の取り分 (残り5億)
宣伝費などがざっくり2億円
配給会社に手数料で20~30%払う (ここで手元に残るのが2億円)
DVDやTVの放映権の収益が(仮に)5千万あるとすると、
手元に残るのが2億5千万円で「製作費回収+純利益」。
つまり2億5千万円の予算の映画は興行収入10億円でやっと回収できる
製作費のだいたい4倍の興行収入でトントン、というのが目安か。なかなかに厳しい数字だろう。
また、同本の対談の本広克行(『踊る大捜査線』の監督)によると、
通常の監督料(シナリオ、演出含む)が「三谷幸喜レベルで」500万円 とのこと。
ただし、本広は映画「踊る~」のときは、「固定ギャラの代わりに純利益の何%かをくれ」という特殊な形にして儲けたとのこと。当時は日本映画が冷え込んでいて、映画もそれほど当たるとは予測されなかったのでこれが通ったそうな。
一流監督(さすがに三谷レベルのヒットメーカーは日本にそういないだろう)のギャラが500万じゃ安いな。しかも振込は一年後だという。監督業だけじゃ食えないから、講演やワークショップで食いつなぐしかない。
是枝裕和のインタビューでも同じことが書いてあった。
「映画を撮りながら考えたこと」より
実際のところ、劇場だけで回収できている映画は1割くらいか、それより少ないはず。テレビ局資本のものを除けば、劇場だけで回収できているのは3%くらいではないかと思います。
ビジネスとしては博奕だよなぁ…と思った次第。だからといって「手堅い」どこかで観たことあるような作品ばかりなのは嫌なので、いい作品を作るためにがんばってもらいたい。(と無難にまとめる)