大傑作劇画・上村一夫『しなの川』。 再実写化するなら主役は誰?
とんでもない傑作漫画を読んだ。
どれくらい傑作なのかというと、私の「生涯で読んだ凄い漫画」ベスト2、3に食い込むのではないか、というレベルの傑作である。
自慢ではないが、私は32年の人生としては、結構な数のマンガを読んでいる(上には上がいるものなので、実際自慢にはならない)。子供の頃から読んで覚えているのは、おそらく600作品~はあると思う。数えたことはないけど。
600作の中のベスト2、3にくるのだから、傑作さの度合いがわかろうというものだ。実際、読み終えて私も「こんな傑作があったのか!」と驚いた。
この傑作漫画は、上村一夫画・岡崎英夫原作『しなの川』である。
73年に、『ヤングコミック』という雑誌で連載された劇画だ。
無料で1日180P読めるウェブマンガサイト「スキマ」で読んだ。
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無料で上村一夫の傑作劇画が読めるとは恐るべしである。
このサイトは他にも、永島慎二ややまだ紫といった昭和ガロ漫画家、ふくしま政美などの昭和劇画が読める、古本屋の掘り出し物みたいなマンガサイトである。すごい。
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では、この『しなの川』のあらすじ。
昭和3年という、世界恐慌がありやがて日中戦争に突入していくことになる激動の時代、新潟県信濃川沿いの、裕福な商家の一人娘・高野雪絵という少女の「女一代記」である。
雪絵は奉公人・竜吉と初恋になるが、竜吉を捨て、左翼の教師と禁断の恋仲になり駆け落ちする。雪絵はやがて母の犯した過ちと、自分の中に流れる淫蕩の血を知り、母と同じく男を抱き、男を捨て、心中するも生き残り、また男を虜にし…という雪絵の「女の業」が、信濃川の激しい流れと共に描かれる。
淫蕩の業を背負った女雪絵と彼女に翻弄される男たちの末路を、ぜひ本作を読んで堪能してもらいたい。
さてこの『しなの川』、過去に水戸黄門のかげろうお銀で有名な由美かおるの若い頃(73年)に主演で映画化されていて、由美かおるはヌードにもなっている。
『しなの川』ポスター
今この映画はネット上で観ることはできなさそうなので、もし今、再実写化するとしたら、主演女優は誰が適切か考えてみたい。
- 物語は雪絵の15歳~40代を描く女一代記なので、その歳の女性を演じられる20代の女優。
- 主演雪絵役は当然ヌード、濡れ場あり。今までヌードを披露したことのない女優にも当然脱いでもらう。
- この傑作を余すことなく実写化するため映画の尺は4時間ほしい。なので当然演技力のある人がいい。
という点を踏まえて、さっそく審議に入ろう。
エントリーNo.1 剛力彩芽
まずはいきなり、「当然」というか「まさか」というか、ゴリ押しで有名なゴメさんである。
ギャラが安いのと、事務所のゴリ押しで一時期ドラマに出まくってたが、ここでもゴリ押しである。いや、今回はちゃんとノミネートした理由がある。
ノミネート理由は「顔が上村一夫の描く美女に似てる」。ほっそりした顔と細い目が上村美人なのだ。「雰囲気」だけでみれば合格である。
しかし問題はある。まず、彼女の演技はしょっぱい。下手とは言わないが、あまり上手くはない。キャラありきの 「エンタメドラマ」程度なら問題ないが、文芸大河映画で彼女が主演の映画を4時間観るのは、正直つらいだろう。
次の問題点。剛力の裸はたぶんエロくない。
これは重大な問題点である。剛力はまだ演技でヌードになったことはないし、もしかしたら濡れ場自体を演じたこともないのかもしれない。それ自体は濡れ場初挑戦すればいいだけだが、いかんせんエロスを感じさせないのはいかんともしがたい。
剛力にエロスを感じないのは、たぶん彼女から「何か秘めた感じ」を感じ取れないからである。
エロスとは秘め事である。男にとってのエロスとは「女の中にある<わからなさ>」だ。剛力はたぶん何も秘めてない。
ましてや、演じる雪絵に流れる血は「淫蕩の血」である。剛力に流れてるのはせいぜいヤクルトジョアだろう(苦笑)。
だから私は剛力の裸に魅力を感じない。もちろんなんかの作品でヌードになったら観るけども、これは男のサガである(苦笑)
エントリーNo.2 二階堂ふみ
まず彼女は、同世代の女優の中では抜群に演技が上手い。文芸映画で何度か主役張ってるので、今回も心配はない。
二階堂が「サブカルかぶれ」な人なのも、昔の劇画を実写化するにはイメージがあっている。
『観ずに死ねるか!傑作ドキュメンタリー88』という本で、二階堂はナチスのプロパガンダ映画『意志の勝利』(35年)をあげていた(苦笑)。たぶん「私は表現者なのだから、これくらいは観ないとダメ!」と観たのだろう。実に好感が持てる話だ。
さらに二階堂は過去に濡れ場を演じていて、放漫な肉体と挑発するような演技は観ていてエロかった。彼女なら濡れ場も安心してまかせられる。
映画『私の男』
ただ惜しむらくは、彼女は若干丸顔なので、「上村一夫美女」っぽさがどこまで出せるか、という点が不安点か。
エントリーNo.3 武井咲
剛力に続いて「オスカーゴリ押し女優」だが、彼女の演技は悪くない。
たまたまドラマ『黒革の手帖』で演じたのをみたら、なかなかの「大人なエロス」を醸し出す人だと感じた。
目がキリっとして、シュッとした顔立ち(キツい顔立ちの美人)なので、上村美女の雰囲気は出ている。
濡れ場はまだ演じたことがないようだが、完全に「実力派女優」へと脱皮するためにここいらで脱いで存在感をみせつけてもらいたいと思う。
…ともう少し武井咲について語りたいが、私はあまり彼女に興味がないのでもう言うことがない(苦笑)
知らんけどEXILEの人と結婚したそうで、「そういう部類の女性なんだなぁ」という感じ。『しなの川』なんて昔の漫画は一生読まないだろうし、ましてや文学フリマなんて(この記事は、同人誌即売会「文学フリマ」用に書いてるのです…)興味もないだろう。あらゆる意味で私とは違う世界の人だ。
他にも無名若手女優を挙げたいが、私はそれに詳しくないので以上3名にする。この中でなら一番の候補は二階堂ふみだろうか?
せっかくなので監督も指名したい。
『血と骨』の濡れ場
崔洋一といえば暴力描写の上手い監督だが、『しなの川』もこういう「暴力的な」濡れ場が中心となるので、いい出来の映画になるんじゃないかと思う。
しかし近作の『カムイ外伝』(09年)は駄作との評判だったが…。それに崔監督、もうここ8年ほど撮ってないんだなぁ。
ということで、『しなの川』を実写化する際には、ぜひこのメンツにしてもらいたい。
追記)私の「生涯で読んだ凄い漫画」ベスト1は、明確に決まっているのだが、長くなるのでこの記事では取り上げない。
私が19歳頃の「人生暗黒期」に、人生何もかも苦しく鬱だったときに読んだ作品である。やはり人生の作品を決める上では「人生でいつに出会ったか」も大事だね。
「人生で読むべき漫画」でありぜひ読んでもらいたいので、この傑作漫画がなにか知りたい方は、ツイッターかブログコメントで私に訊いてください。