文芸的な、あまりに文芸的な

人生にあるのは意味ではなく味わいだと私は思っている(谷川俊太郎)

イベント「モテる大人のつくり方――アダルトビデオ監督・二村ヒトシに、女流官能小説家・深志美由紀が聞く!」レポ

モテる大人のつくり方――アダルトビデオ監督・二村ヒトシに、女流官能小説家・深志美由紀が聞く!」という新宿でやったイベント(トークショー)にいってきました。メモしたことを公開。

 

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二村といえば、恋愛指南本『すべてはモテるためである』(男向け)、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか 』(女向け)の著書。私は二村の本はほとんど読んでいるはずだ。二村の話目当てに行った。

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

 

 深志美由紀という人は知らなかったのだけど、団鬼六をとった官能小説家だそうだ。ドMでだめんず好きで、売れないバンドマンを養ったりするのが好きだとのこと。

ところで今のご時世、官能小説って食えるのだろうか…?

花鳥籠 (悦文庫)

花鳥籠 (悦文庫)

 

アダルトグッズ企業のラブメルシーが協賛してたので、参加者全員にバイブと試供品コンドームが配られた(笑

ということでメモ公開。 ざっくりメモとっただけだったのと、イベントから数日たってるため記憶も曖昧なので、完全に正しい書きおこしではないので容赦されたし。

 

二村:自分は演劇をやっていてそこそこ客が入っていたが、スズナリとかで松尾スズキの「大人計画」をみて「こいつらには勝てないわ…」と思った。

そのときにはもうAVの世界に足つっこんでいた。なぜか根拠もなく「俺のセックスはカネになる」と思っていた。セックス好きだったので。ちょうど子供が産まれた時期が、運よくSODが出てきたときで、AV作品でも「痴女モノ」がうけるようになったので、AVで食えてた。…とのこと。

 二村が演劇やってたのは知っていたが、大人計画みて挫折した口だったのは初めて知った。私も大人計画好きなのだが、そういう演劇人は多かっただろうと想像できる。 あとこの講演とは関係ないが、SOD勃興期の話は、本橋信宏 著『新・AV時代 悩ましき人々の群れ』 に収録されていてかなり面白かったので、皆さんぜひ読んでみるといいと思う。 

新・AV時代

新・AV時代

 

〇男性向け編

 深志:私はヤリチンとばっかつきあってた。「感じのイイ馬鹿」が好き。二村とも同意したが、「うわの空な男(自分に100%を注いでこない男)はモテる」。ムーミンでいうスナフキン

二村恋愛工学は敵だが、論理的には正しい。一人の女に執着する男は(二村用語でいう)キモさが出る(恋愛工学でいう非モテコミット)ので、そうならないようヤリチンになるべき、という理論なので。 非モテが恋愛工学身に着けてもキモい。

深志:デートコースからセックスするまでを詳細に練習するヤリチン男がいた。このタイミングで手を繋いでキスして…みたいなのを事前に一人で現場で練習する。部屋は間接照明にお香。普通に考えればこんな男はキモいのだが、実際のデートでは全くキモくなかった。ギラギラ感がなくなるまで練習すれば、キモさは出ないのかも。

二村:男は「多くの女にモテたい」と思えばヤリチンになり、その逆ならラピュタみたく空から落ちてくる運命の女を待ってるような男になりキモい。

モテたいと思う相手がいないのに、男はなぜモテたいと思うのか?社会的に承認されたいとか、男社会のお約束がキモイ。なぜモテたいのか、こういう欲望を持っているのかということを男は考えなすぎ。 逆に女は、「なぜ私はモテないのか」考えすぎ。その時間でオナニーして、いいオーガズムを勉強すべき。男は考えずにオナニーしすぎで、女は考えすぎるくらいじゃオナニーしたほうがいい 。

深志:二村の『すべてはモテるためである』ではモテない男はキャバクラで女性と話す練習しろとあったが、キャバクラの接客は100%ヨイショなので練習にならない。相席居酒屋で練習するくらいがいいのでは。

〇女性向け編

二村:男はモテないことに悩む一方、女の人はなぜあの人を好きになるのかって言う自責の念に襲われる。女は考えすぎ。

女が「支配してくれる男」が好きなのは、「女は主体的になるなという」(二村用語の)「心の穴」を(主に親から)空けられているから。女の人は自主性を持った方がよい。

客席から)女性がモテるようになるコツは?

深志女性は隙のある女がモテる。これは真理。男はやれそうかどうか見てる。実際にやらせなくていい。多数の男をとにかく「食事につれてって」と誘う。…非モテコミットされたら?それが「モテる」ってことでしょ?まぁ、興味ない男にはおごらせておけば?

「うわの空の女」はやれそう感がないので、ヤリチンも手を出してこない。50代のチャレンジャーヤリチンくらい?

二村:意識的にポジティブヤリマンになろうとすると、必ずネガティブヤリマンになって闇落ちする。 メンヘル化する。 自分の中の男性性を自覚するといいヤリマンになれる。

〇モテとオタクについて

参加者のメールより)

女「今までつきあったことがない。恋愛できない自分が寂しい」

男「低収入で自信がない。恋愛願望がない。心配だ」

二村:もし他のことで心の穴が埋まっているのなら別に恋愛しなくていい。恋愛とは他人と出会うことで傷つくことだから。

たとえばオタクになるとか。僕は「自分を確立したインポ」として優しく老後を生きたい(二村は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の主人公マックスを、性欲につき動かされてないインポヒーローだと肯定的に評していた)

他人というものは思い通りにならないものなので、恋愛しても寂しい人は寂しい。相思相愛などこの世にない。「愛し返す」くらいしかできない。

恋愛やセックスを何か重大なものと思い込みすぎ。そういうことを客観視するとうまくいくことが多い

深志:オタクは疑似恋愛。オタクは皆性的。腐女子は皆、アナルアナル言ってるし。

二村:モテの代償行為(逃避)としてオタクをやっていると、キモさが周りにバレてしまうのでモテない。ガチで(つまり「モテるために」でなく)やると、だいたいはオタク仲間ができるので、その中で異性ができることもある。「うわの空理論」と重なる。

深志:ただ、オタクになるのには才能がいる。

二村:元も子もないけどそれで言うと、恋愛も才能

〇その他

 二村:「自分が女性だったら、自分のことを好きになるか?」って言うのがモテるかの第一歩。多くの男はそれを考えたことがない。

 二村:メンヘラ女性ブロガーは客観性がないので小説は書けない(北条かやのことか 笑)

深志:ツイッターのフォロワーに、「宅配荷物の受け取りを全裸でする」フェチの人がいた。包茎ちんぽを女性宅配員にみせる性癖。しかしその人は、包茎手術したらこの欲望がなくなってしまったという。コンプレックスが性癖に影響するいい例。

 二村:乙武は圧倒的自己肯定感のかたまりのような人。だから乙武とセックスしたいと思わない女性はいないでしょ?絶対レイプしないし

乙武については『KAMINOGE』というプロレス雑誌で、前田日明が「性欲、ネゴシエーション能力、コミュニケーション能力、そのすべてが称賛に値する!」と褒めてたのを思い出して笑ってしまった。やっぱ乙武はモテるよな)

 

かきおこし以上。質疑応答では、質問者にバイブやローションなどのラブグッズが配られて楽しかった。

トークショーのあとは懇親会(食事会)だったが、新宿で書店めぐりする予定を優先して参加しなかった。もしこの記事をみた人で、参加した人がいたらどんな話が出てたのか教えてください。

私の感想としては、自分はオタクメンタルなので、現状特にモテなくても辛くないのかなと思った。

「自分が女性だったら、自分のことを好きになるか?」という質問を自分投げかけてみたが、私は「好きな事をやってる女性(=オタクなひと)」が好きなので、自分は「なる」と思った。普段意識したことはなかったが、自分は自己肯定感が高い人間のようだ(笑

あと、「<自分の居場所>のない人」って世の中結構いるのだな、と思った。私は趣味の場では読書会に参加してるし、友人も何人かいるので、精神的にもコミュニティ的にも「居場所」はあるので、その点は安心した。

自身のモテの話でいうと、年齢30超えると性欲衰えるし、趣味とかいろいろやることに忙しくて時間ないし、「複数の女性にモテたい」とは全然思わない。「この人面白いな」って人にピンポイントでモテたい。自分は「非モテコミット」な人間なのだと思った。なのでそのキモさが出ない感じで、気の合う女性にモテたいなと思った。

ということで、私と一緒にバイブでエッチな遊びをしてくれるオタク系の女子とつきあいたいです!誰か私とつきあって!

 

 追記)以前参加した、二村の話のレポ

宮台真司×二村ヒトシ『男女素敵化』講演会レポ in バレンタイン

akihiko810.hatenablog.com