第二十三回文学フリマ東京「文化系女子になりたい」編集後記
作成した文芸同人誌『文化系女子になりたい』、紙面が尽きてしまったので、編集後記だけブログ上で発表。おまけコンテンツ。
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まずは、今回文芸同人誌『文化系女子になりたい』を購入してくださった方、私たちのブースに寄って下さった方、そしてこのページを読んで下さっている方にお礼を述べます。本当にありがとうございます。
まずは宣伝。さいたま読書倶楽部という読書倶楽部があります。月1回の読書会です。
私たち『文化系女子になりたい』制作メンバーもこの読書会に参加しています。
参加者は60人ほどで、主な年齢層は20代~50代。本当に刺激的で面白いですよ。興味のある方はぜひご参加ください。(※私たちは読書会の主催者ではないので、HPからお申し込みください)
…といったところで、以下は編集後記らしく、今回の同人誌編集の所感を。
前回の文学フリマ(第22回東京 5/1)に続き、2度目の参加である。前回の参加で、この即売会の雰囲気がなんとなくつかめたので、今回はほんの少しだけ余裕をもって臨みたいと思う(この文を書いているのは文フリ開催前日)。
今回は、私の大学時代からの友人、和田(和田浩史 (@hirofumi) | Twitter)の他、
中山とりこさん(中山とりこ (@lKM4DkStF7Fl9lR) | Twitter)も参加してくれた。3人態勢になったことで、同人誌のジャンルに幅ができたと思う。
前回の「漫画論と短歌」に加え、中山さんが小説を、そして私が(初めて)マンガを描いた。
まずは、わたくしタムラが担当したマンガ制作に関する雑感を。
私は「マンガを読む」ことをライフワークにしている(自称。世の中私以上の漫画読みはたくさんいるだろうけど)のだが、「マンガを書く」のは初めてだった。小学生低学年時に、「自分が読むために」マンガを描いていたことはあったが、「発表するために」描くのは初めてだった。「絵を描く」こともしたことがない。ただ、漫画を多量に読むうちにいつしか「自分でも描いてみたい」「絵がうまくなくてもいいのなら(そして趣味でやるにはそれで問題ないのだから)、自分でも描けるのではないか」と思って、今回マンガを描いた。
マンガのページ数は少ないので、なんとか「ヘタウマ」な、いや「ヘタ・ヘタウマ」な絵でのりきろうと思った。イメージとしては「西岸良平(『三丁目の夕日』作者)を下手にした絵で、つげ義春っぽい話」を描きたかった。
そしてなんとか出来たのはーー「下手が下手なりに書いた」画でかいたマンガだった。ヘタウマというには個性がない絵。ヘタウマな絵でマンガを成立させるには、1コマだけでなく「マンガ全体を統一して」ヘタウマにしなければならない。これはこれで結構な技術のいるものだと、実感した。漫画文学論の原稿が遅れに遅れて、マンガは5日ほどで仕上げなければならなかったので、ヘタウマな画を研究することが出来なかったのも一因だった。
マンガペン(Gペン)は持っていないので、ボールペン書き(ボールペン漫画には、こうの 史代『ぼおるぺん古事記』という、ボールペン描きの味のある漫画もあるのだが、私にはもちろんそれを再現できる能力はない)。本当は、ほしのよりこ(『今日の猫村さん』作者)のように鉛筆書きで書きたかったのだが、コピー印刷したときにあまりに線が薄かったので断念した(ほしの漫画はどんな印刷してるのだろう?印刷会社通せばあの鉛筆線が出るのだろうか?)。
コマ割りも難しかった。躍動感のある絵は描けないので、「(動きの少ない)静かな」話にしたのだが、もう少し「動きのある」マンガにしたかったとも思う。しかし今の私にはそこまでの技術がないので、それをふまえて考えれば、出来たマンガの「話」の面では不満がない。
まあ、今の私の能力からしたら及第点のマンガだと思いたい(自分への評価が甘いわけじゃないよ。厳しくもないけど 笑)
そしてもうひとつ思ったのが、「人間(の姿)を描く」ことの難しさ、というより面倒くささ。竹久夢二という実在の人物が登場人物だったので人間を描いたが、思えば水木しげる『猫楠』みたいにデフォルメした動物にすればもっと簡単に描けたのではないかと思った。イメージとしては羽海野チカの描く熊の自画像みたいな。
というわけで、初心者がマンガを描くときは、デフォルメされた動物で描くことをオススメする。
と、初めてマンガを描いた感想はここまで。
『文化系女子になりたい』同人誌を両号ご購入でない方もいると思うので、いずれ、両号のマンガをこのブログで公開する予定である。
なお、『文化系女子になりたい』原稿コピー時に、画像上下が見切れてしまった箇所が一部あるのでそこを訂正させていただく。(雰囲気でなんとなくわかると思うが…)
「3号 マンガ『夢二とお葉』4P」
1コマ(右上)「先生 わかってらっしゃるかしら…」
5コマ(左上)「先生ったら、私をお描きになっていたら ボーッとなさって」「そうだったかな」
「3号 漫画文学論『おやすみぷんぷん』論 8P」
最後の行「愛子ちゃんの母親はそれを受け入れなかった。刃物をもって愛子ちゃんを襲った。それを見たプンプンはーー首を絞めて殺した。」
浅野いにお『おやすみプンプン』を読む ~浅野いにおと、ポストモダンという憂鬱 - 文芸的な、あまりに文芸的な
また、和田の短歌研究新人賞候補作受賞作『an』(4号に収録)の加藤治郎選評は、このブログで公開しているので、興味ある方はご覧いただきたい。
最後に、私たちがーーというより私が、文芸同人誌を作る(そして文フリに出る)理由を述べておきたい。
前回の文フリの編集後記に、私は、「私が文章を書く理由」は、
私は、この感覚の百分一でもいいから他者に、つまりこ文章を読んでるあなたに、私の思考を理解してもらいたいとそして共感してもらいたいと思うから文章を書くのだ。
と書いた。それは今でも変わらない。私は、私以外の誰かに、「私の思考を100%共感してもらいたい」と思って文章を書いている。(そしてもちろん、それは不可能なことだも承知している。その上で、あえて書くのだ。)
しかし今回は、他にも文学フリマに参加したいと思う理由があった。
ひとつは、文学フリマという「学園祭」的雰囲気を味わいたかったこと。学生時代で一番楽しい想い出であった学園祭を追体験したいと思ったことがひとつ。
こちらの同人誌サークルさんのページで
「文フリは(批評性を持つ場ではなく)お祭りなのか、文フリがお祭りでいいと思っている人がどれだけいるのだろうか」という話を書かれているが、私自身は文フリはお祭りでいいと思っている。
その中で高度な批評や文学性の高い作品を発表する人が出て来ればいいのではないかと思う。ーーここで「私の書くものが文学だ」と言えればカッコイイのだろうが、一応私は文学の深さを知る者なので、そんな大それたことは言えない。「文学っぽいもの」の末席に加えてもらえればそれで光栄である。
そしてもうひとつ文フリに出る理由。それは私に共感してくれる人物と出会いたいからである。
平たく言えば、私の話になにか共感してくれる新たな知人友人がほしい。私の好きなマンガの話を、本の話を、趣味の話を語ることができる友人(友人とまで呼べずとも知人といえる程度の仲でもいい)に、万が一にでも廻り会えないだろうか、「文学好き」が集まるこの場なら、そんな偶然の出会い(といったら大袈裟だが、なにかそういうきっかけ)というのもあるのじゃないか、という淡い期待からである。
ということで、私にほんの少しなりでも興味を持った方は、ぜひこのブログ記事に感想コメントを残してもらいたい。あるいはツイッターでフォローして頂いたりお知らせしてもらいたいのです。私は、できればあなたと何か話したいのです。
いや別に私に興味なくてもいいので(全然いいです)、何かご感想を頂けたなら、メンバー一同泣いて感謝します。同人誌をやってる人はわかると思うけど、何でもいいから読者から反応があるとうのは、この上なくうれしいものなのです。
なのでぜひ感想待ってます。
そして最後に、言いたいことがもうひとつ。
私、彼女ほしいです!私とつきあってください!(爆
「結局それかい!」と自分でツッコむが、これは私の偽りのない本音。マンガや本の話を一緒にできる人と仲良くなりたい。
まぁともあれ言いたいことは、別に付き合うどうこうとか、そういう重い関係じゃなくても全然いいので、ツイッターでたまにおしゃべりするだけのライトでゆるい関係を、男女年齢問わずにしたい、ということです、本当に。
では最後に。本当に読んでいただいてありがとうございます。そしてご感想お待ちしております。
◆和田浩史 (@hirofumi) | Twitter
『文化系女子になりたい』を読んでいただいた方、(ブースに立ち寄ってくれた方も)ありがとうございます。
短歌を始めて年数の浅い私ですが、「へー」とか「ふーん」とか
少しでも引っ掛かる歌があったら嬉しい限りです。
ふだんtwitterをよく見るのですが、短歌業界(業ではないですね)の結社のようなつながりにうまく馴染めないなぁと思っています。
みんな楽しそうでなんか近づきにくいなぁとそう思っている人も多いのではないでしょうか。
だから自分にとっては『文化系女子になりたい』をもはや結社にするのも良いかもと思ってます。
『文化系女子になりたい』を屋号にして、みんなで短歌を書こうじゃないかと
思ったりするわけです。
そんなわけで突然ですが、次の冊子刊行に向けて(活動形態は冊子で無くても良いかもしれません)新メンバーをゆるく募集しようかな、と。
というのも先日、文フリで印象的な2つのサークルに出会いました。
一つは、僕たちの隣のブースだった、エクリオさん。
いわゆるゲームまわりの評論冊子ですね。
僕はゲーム評論が好きなので購入しましたが、まあ面白い!
中の記事に触発されてさやわかさんの
『僕たちのゲーム史』(星海社新書)も読み始めました。
エクリオさんのブースはすごい人気で、購入する人が列をなすほど。
なんかこう一般的な本屋さんのような感じと言うか
開かれている感じがしてすごく良いなと思ったんです。
社会とつながっている感じと言うか。
そしてもう1つは、『素数』という短歌冊子のブース。
こちらも購入して読んでますがまあ面白い!
装丁も格好良いし、メンバーのセンスがまた良い。
正直、このブースは短歌カテゴリの中でもかなり開かれている感じがしたんです。
他の数多の創作物と同じ土俵で勝負する的な。
…またがっつり短歌を詠みたくなりました。
俳句や川柳だって、キャッチコピーや大喜利だって、
みんな面白いですが、短歌はまた別の面白さ。
若い人の作る短歌を「平成アイデア短歌」などと
揶揄したのは誰だったでしょうか。
面白ければいいじゃん!
というわけで、新メンバーをゆるゆる募集しますので@hirofumi までコメントください。(集まるんでしょうか…)
◆中山とりこ (@lKM4DkStF7Fl9lR |Twitter )
文化系女子になりたいをお手にとっていただいた皆様、ありがとうございます。今回より、田村さん和田さんに混ぜていただきました、中山とりこと申します。もそもそと短歌や小説を書いています。
普段はTwitterや、noteというサイトに投稿しています。今回はvol.3に載せた短歌連作のカラー版も公開していますので、よろしければ見てみてください。